トレントでアダルト動画を違法ダウンロードし、AV制作会社から「テレサ書式(裁判外手続き)」で開示請求されたらどうする?

近年、トレント(BitTorrent 等の P2P)を使ってアダルト動画を違法にダウンロードしたとして、AV 制作会社やその代理人弁護士から「発信者情報開示請求」や「慰謝料・損害賠償の請求」が届くケースが増えています。

この記事では、「テレサ書式(裁判外手続き)」で開示請求されたパターンについて紹介します。

1 テレサ書式(裁判外手続きパターン)とは何か

「テレサ書式」とは、一般社団法人テレコムサービス協会が定めたフォーマット等を参考に、AVメーカー等の権利者側が 裁判を起こさずに プロバイダに対して「発信者情報を開示してほしい」という文書を送付する手段を指します。

これを受けて、プロバイダは各契約者(発信者)に対し、情報を開示しても良いかを問う意見照会書を送ります。

このような裁判外手続きパターン(テレサ書式パターン)では、裁判所に対し、開示の申立てや訴訟を行う「申立て済みパターン」と区別されます。
申立て済みパターンは裁判外手続きパターンとは異なり、すでに裁判所に具体的な開示請求申立がなされており、発信者情報開示命令が発令される可能性が高い段階です。

2 意見照会書が届いたらまず確認すること

テレサ書式の意見照会書等が送られてきたら、以下をチェックしてください。

項目意味
発信者情報開示請求または開示命令申立が裁判所を利用した手続きでなされているかどうか裁判所を利用した申立て済みパターンであれば、開示が認められる可能性が高いです。
逆に、テレサ書式だけの段階ならば具体的対応の選択肢が広いです。
書面(意見照会書)に記載のIPアドレス・タイムスタンプ・作品名等の特定情報あなたがその日時・該当のIPアドレスを利用して、当該作品をダウンロードしたかどうか、覚えがあるかないかで主張、反論の準備ができます。
回答期限通常1~2週間以内とすることが多いです。
回答期限を過ぎて放置をすると自身に不利益になることもあり得ます。

3 「同意しない(開示拒否)」の回答は可能か

テレサ書式が送られてきただけの段階では、開示請求側(権利者)は裁判所を利用していないことが多く、この段階で「同意しない」つまり開示拒否の意思を示すことは、法律上問題ありません。

実際に実務上、当該段階で「不同意/開示拒否」と回答して、それ以降具体的な発信者情報が開示された例はないことも多々あります。特にテレサ書式パターンではそうした対応が多いです。

ただし、「開示拒否」の回答をしたからといって、将来的な申立(裁判所を通じた発信者情報開示命令)を完全に防げるわけではありません。
今後、権利者が「申立て済みパターン」すなわち裁判手続きを利用した開示請求に移行する可能性があります。

当然、申立て済みパターンの方が、開示命令が出される可能性が高いです。

4 まとめ

いかがでしたでしょうか。

トレントでアダルト動画を違法にダウンロード、共有してしまった場合、AV制作会社からテレサ書式の「裁判外手続きパターン」の開示通知がまず来ることがあります。

これは必ずしも致命的なものではなく、争う余地があります。
また、むやみに示談を急がないことで被害を最小限にできる可能性があります。

ただし、開示に対する意見や判断を誤ると請求額が膨らんだり、発信者情報の開示がなされたり、最悪のケースでは裁判や刑事責任にまで発展する可能性があります。

少しでも不安・疑問があれば、早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。

あかがね法律事務所では、これまで数多くのネットトラブルを扱ってきた実績があり、最新の裁判例や制作会社の動向を踏まえて、依頼者に最適な解決策をご提案しています。

下記よりご相談をお待ちしております。

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