【弁護士向け】はじめての刑事弁護(公判編)

前回、前々回は、弁護士向けにはじめての刑事弁護(接見編)と(身柄解放編)を紹介しました。
前回、前々回の記事はこちらです。
今回は、公判ついて解説します(今回も東京23区での弁護活動を念頭に紹介します)。
1 公判準備(証拠閲覧等)
起訴後、しばらくすると検察庁から証拠開示の準備ができた旨連絡が入ります。
なるべく早めに検察庁に証拠閲覧(コピー、撮影)に行き、被告人と公判方針について打ち合わせをしましょう。
簡単な事件でも意外と記録量があるので、デジカメでの撮影を推奨します。
証拠開示を行っている場所は、東京地検のB棟(東京家裁の隣。なお、A棟は、終了事件に関する証拠開示を行っている。ちなみに、証拠調べ以降、証拠は全て裁判所に保管されているので注意。)です。
⑴ 時間
東京地検B棟の証拠閲覧・謄写申請時間は、以下のとおりです。
【閲覧】
9時30分~11時30分、13時~15時30分
【謄写(謄写機関による場合)】
9時30分~12時、13時~17時
⑵ 持ち物等
証拠閲覧等を申請するにあたっては、弁護人選任通知書が求められる場合があるので、念のため持参しましょう。
その他に、申請書には、弁護人・被告人氏名、罪名、起訴日、公判担当部(単独、合議)の記載をする部分があるため、上記事項が確認できる資料を持っていきましょう。
あとは職印必須。
⑶ 閲覧方法
証拠右上に「甲1号証」、「①」のように、証拠番号に関する数字が記載されています。
このため、撮影の際は必ずこの部分が写るようにしましょう。そうしないと証拠意見書が作成できなくなってしまう・・・・(証拠番号が「①」とかだと分かりづらいので注意。)。
また、証拠は綴りひもを解くことができず、スマホでの撮影も禁止です。
2 公判準備(事前の書面提出)
起訴後、裁判所からは、部によって進行に関する意見・要望書を起訴状とともに交付される場合があるので、だいたいはそこに方針等を記載してFAXすれば問題ないです。
もっとも、裁判所だけではなく、検察官にも証拠意見や公訴事実に対する意見を事前に伝えましょう。
そこで、事前に検察庁にも連絡し、①担当公判部のFAX番号、②担当検察官の氏名(捜査担当検事とは異なります。)、③担当検察官の内線番号を聴取しておきましょう。
被告人と打ち合わせの後、公判での主張方針が決まったら、㊀公訴事実に対する意見書、㊁証拠意見書、㊂証拠調べ請求書(弁号証がある場合)を裁判所と検察庁にまとめてFAXしましょう。
なお、証拠意見について、全部不同意でも構わないが、争いのない証拠(住民票や戸籍謄本等)まで不同意にすると訴訟進行に支障が生じるので、しっかりと取捨選択しましょう。
乙号証について不同意部分があるのであれば、「被告人質問を先行されたい」との意見を述べるのもありです。
物証や人証については、刑訴法326条の同意の対象外ですので、証拠意見は同意・不同意ではなく「しかるべく」、「異議あり(必要性なし等)」であることに注意しましょう。
※第1回公判期日前に公訴事実に対する意見書および証拠意見書等をFAXする場合は、第1回公判期日の日付を記載してください。これは、第1回公判期日前の証拠調べ請求ができないからです。
3 公判
⑴ 冒頭手続
冒頭手続は以下の手順で進んでいきます。
① 人定質問(被告人の氏名、生年月日、本籍地、保釈中被告人の場合は制限住居の確認、職業等)
② 起訴状朗読
③ 黙秘権の告知
④ 罪状認否(被告人)、その後弁護人にも意見確認(いわゆる公訴事実に対する意見)
⑤ 検察官冒頭陳述
⑥ 証拠調べ請求、その後弁護人意見(いわゆる証拠意見)
⑵ 被告人質問
被告人質問では、簡易な事件であれば、双方それぞれ各10~20分ほどの時間となることが多いです。
緊張するかもしれませんが、それは被告人も一緒です。
しっかりと打ち合わせをして臨みましょう。
⑶ 弁論
弁論はあらかじめ作成の上で公判終盤に法廷で提出します。裁判官および検察官分も印刷するのを忘れずに。
弁論では、被告人に有利な事情ばかりだけではなく、不利な事情も記載した上で(検察官の論告を想定した上で)、それをカバーする内容が好ましいです。
証拠関係やどのような情状立証が可能か、証拠閲覧・被告人質問内容等を検討する段階で弁論を構築しておきましょう(起訴される可能性が高いのであれば、被疑者段階である程度は検討しておくべきです。)。
4 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、弁護士向けに刑事弁護の公判について解説しました。
あかがね法律事務所は刑事事件も豊富に取り扱っておりますので、弁護士以外の方はお気軽にお問い合せください。







-200x200.jpeg)






