【弁護士向け】はじめての刑事弁護(接見編)
.jpeg)
はじめて国選弁護が配点された―
刑事弁護は初見殺しのトラップが満載です。
その中でも今回は、弁護人として最も重要な「接見」について、本では書かれていないことを弁護士向けに解説していきます(なお、本記事は東京23区での被疑者国選事件を念頭に執筆しています。)。
1 その接見、ちょっと待った
はじめて国選弁護事件が配点され、すぐに接見に行きたい気持ちはわかります。
ですが、接見前には必ず、被疑者が留置されている警察署に架電し、被疑者の在監状況を確認するようにしましょう。
基本的には、留置中の被疑者の生活は朝食、昼食、夕食、入浴、就寝が時間で管理されているため、接見に行ったとしても待たされる可能性があります。
また、検察庁で取調べが行われている際は、被疑者の身柄は、検察庁にあるため、基本的には被疑者が戻ってくる17時以降でないと警察署では接見できない可能性があります(なお、検事調べ当日の朝に検察庁に連絡すれば、検察庁での接見が可能です。)。
※おおまかな時間割
昼食:12時~13時
夕食:18時~19時
入浴:週数回、朝に入る警察署もあれば夕方入るところもあります。
各警察署ごとに確認しましょう。
2 留置受付で何をする?
留置受付に到着すると、接見希望のための用紙に「弁護人氏名」、「連絡先」、「登録番号」、「被疑者氏名」を記載する必要があります。
また、国選弁護の場合は、用紙記入の際、法テラス提出用の「接見資料」をもらい、用紙の下に敷きながら記載してください(カーボン紙なので転写されます)。
これがないと、接見に行っても報酬がもらえないので注意です(筆圧が弱いと転写される文字も薄くなるので、気持ち強めに書きましょう。)
基本的には受付時に、留置の担当警察官が用紙の下に敷いた状態で出してくれるが、必ずしもそうは限らないので、「接見資料」がない場合は口頭で要求しましょう。
ちなみに接見時には「徽章(弁護士バッヂ)」か「弁護士の身分証」いずれかを提示する必要があるので忘れないように!(職印は不要です。)
3 差し入れと宅下げの注意点
被疑者と物品の授受ができるシステムをそれぞれ「差し入れ」、「宅下げ」と言います。
こちらは接見希望の用紙とは別に、差し入れ用の用紙を記載する必要があります。こちらは差し入れ物品名や数量を記載の上で、空欄部分は斜線を引きましょう。
なお、被疑者の財布や貴重品関連は、留置課ではなく会計課で保管されているので、17時以降に宅下げを要望した場合、後日返却となります。
事前に宅下げ希望である旨を伝えておけば、会計課から留置課に移動してもらえます。
4 裁判所で接見ってできるの?
国選事件配点当日などは、勾留質問のため、裁判所に被疑者の身柄があります。その場合、裁判所で接見をすることができます。警察署の場所によっては、裁判所で接見をする方が時間的にも距離的にも負担が軽くなるので活用しましょう。
裁判所での接見方法は以下のとおりです。
① 東京地裁刑事14部で被疑者の到着を確認の上、接見の申出をする。
刑事14部受付係電話番号:03-3581-3187
※裁判所での接見は15時までなので注意!!
② 刑事14部で「接見指定書」の交付を受ける。
③ 裁判所地下1階警視庁同行室(地下1階外に入口がある。わかりづらいので注意。)に接見指定書を持参して接見する。
④ 休日の場合は、地下1階北側駐車場左手にある休日受付において上記手続をとる。
なお休日は、東京地裁当直電話のみ利用可能:03-3581-1381
5 検察庁でも接見できるの?
裁判所だけではなく、検察庁でも接見できます。特に、勾留延長請求前や勾留満期前だと検事調べがあるため、検察庁接見を積極的に利用しましょう。
接見の手順としては、まず東京地検代表番号に架電しましょう
(TEL:03-3592-5611)。
しかし、上記代表番号について、休日や平日17時以降は不通になってしまいます。そこで、その際は、東京地検日直(TEL:03-3592-5665)に架電してください。
基本的には、検察庁での接見は、検事調べ日の早朝に担当検事に連絡して予約が可能です。
当番弁護等で勾留前段階の場合、刑事部(公安部の可能性もります。)事件管理課に架電して予約可能です(内線6298または3516。公安部は別内線番号です。)。
検察庁での接見可能時間は、午前10時30分から午後3時30分までで、20分以内となります。
接見場所は東京地検A棟(東京家裁の隣ではない棟)地下二階です。エレベーターには「B2」の記載は存在しないので、階段を利用しましょう。地下二階に着いたら、長い通路の一番奥に「留置管理第二課」と記載された木の看板があるので、その部屋で受付をしてください。
※ 交通事犯(道交法違反や過失運転致傷等)の場合は東京地検九段庁舎(千代田区九段南1-1-10 九段合同庁舎内、代表:03-5210-6300)に場所が変わりますので注意してください。
6 東京拘置所での接見
起訴されてしばらく時間が経つと、被疑者の身柄は東京拘置所に移送されます。東京拘置所での接見が実は一番ルールが厳格です。
接見の時間は原則、平日の午前8時30分から午前11時30分、午後12時30分から午後4時の間のみです。
休日は、2週間以内に公判がある場合には、例外的に土曜日の午前中に接見が可能です。
なお、差し入れ時間は、平日の午前8時30分から午後12時、午後1時から午後3時30分までです(接見時間と若干異なるので注意してください)。
この場合、警察署での差し入れと異なり、職印が必要になるので、職印を忘れずに!!
郵送(普通郵便、レタパやゆうパック)での差し入れも可能です。郵送先の住所は以下のとおりです。
| 〒124-8565 東京都葛飾区小菅1-35-1A 〇〇 〇〇 様 ※Aは在監者宛ての意。刑務官宛てとの区別のため |
7 弁護人選任届はどこに提出?
私選弁護の場合、弁護人選任届(弁選)の提出が必要です。
弁選は、警察署で提出ができますが、担当者が不在の場合等は検察庁に提出する必要があります。
検察庁での提出は東京地検A棟5階(公安部事件の場合は12階奥)となります。
なお、弁選コピー持っていくと受領印を押してくれるので念のため持っていきましょう。
ちなみに、「〇〇警察署、東京地検 御中」と記載のある弁選を検察庁で提出すると「〇〇警察署」部分を削除の上、訂正印を求められる場合があるため、念のため職印を持参しましょう。
※交通事犯(道交法違反や過失運転致傷等)の場合は東京地検九段庁舎で提出です
8 まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、弁護士向けに初見殺しが多い刑事弁護の接見について解説しました。
あかがね法律事務所は刑事事件も豊富に取り扱っておりますので、弁護士以外の方はお気軽にお問い合せください。














