【離婚調停が成立したら?】離婚届の提出・氏や戸籍の手続きまで弁護士が徹底解説

離婚調停を終えて無事に離婚が成立したものの、今後どうすれば良いのかわからない。
今回はそんな方向けに、離婚調停成立後にやるべきことを解説します。
1 離婚調停成立後も「離婚届」の提出が必要
離婚調停が成立すると、その日が離婚成立日(離婚日)となります。
ただし、調停離婚であっても、市区町村役場に「離婚届」を提出する必要があります。
この届出は「報告的届出」と呼ばれ、相手方の署名押印や証人2人の記載は不要です。
⑴ 離婚届の提出者
原則として、申立人(調停を申し立てた側)が届出人となります。
ただし、調停条項に「相手方の申出により、本日調停離婚する」とある場合は、相手方が届出を行います。
⑵ 届出期間
調停成立の日を含めて10日以内に提出しなければなりません。
期間内に申立人が届出をしない場合は、相手方が代わりに届出できます。
⑶ 届出場所
夫婦の本籍地または届出人の所在地の市区町村役場です。
⑷ 必要書類
- 離婚届出書(相手の署名押印・証人欄は不要)
- 調停調書謄本(戸籍記載事項以外を省略したもの(省略謄本))
- 本籍地以外で届出をする場合は、夫婦の戸籍謄本
2 離婚後の自分の氏(姓)をどうするか
離婚によって婚姻中に改めた氏(姓)は自動的に旧姓に戻ります。
ただし、「婚姻中の氏を引き続き使う」ことも可能です。
婚姻中の氏を引き続き使用するには、離婚の日から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する旨の届出」(戸籍法第77条の2)を提出する必要があります。
この届出は、離婚届と同時に提出することもできます。
なお、将来、再び旧姓に戻したくなった場合は、家庭裁判所に「氏の変更許可申立て」を行う必要があります。
氏の選択は今後の社会生活や子どもの氏との関係にも影響しますので、慎重に決めましょう。
3 離婚後の戸籍手続き
婚姻によって氏を改めた人は、離婚によって原則として婚姻前の戸籍(実家の戸籍)に復籍します。
ただし、婚姻前の戸籍が除籍になっている場合は、新戸籍が編製されます。
また、希望すれば次のような手続きも可能です。
- 新たな本籍地に新戸籍を作りたい場合
離婚届書にその旨を記載すれば、希望する本籍地に新戸籍を作成できます。 - 戸籍法第77条の2の届出(婚氏続称)をした場合
自動的に新戸籍が編製されます。
4 子どもの氏と戸籍の扱い
離婚後、親権者が別戸籍に移っても、子どもの氏や戸籍は自動的には変わりません。
子は引き続き、両親の婚姻中の戸籍にとどまります。
子を親権者の戸籍に入籍させたい場合
子を親権者の戸籍に入籍させたい場合には、以下の手続きを行う必要があります。
- 家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立て」を行う。
- 許可が出た後、市区町村役場で入籍届を提出する。
申立て手続きの概要
項目 | 内容 |
---|---|
申立管轄 | 子の住所地の家庭裁判所 |
申立人 | 子(15歳未満の場合は親権者が代理) |
申立費用 | 収入印紙800円(子1人あたり)+郵便切手少々 |
添付書類 | 父母双方の戸籍謄本(離婚の記載があるもの) |
申立書式 | 家庭裁判所窓口に備え付けあり |
※手続完了後、戸籍記載が完了するまでに数日~数週間かかることがあります。
入籍届を別の市区町村で出す場合は、該当戸籍謄本を2通取得しておくとスムーズです
5 まとめ
いかがでしたでしょうか。
離婚調停が成立しても、それで手続きが完了するわけではありません。
離婚届の提出、戸籍・氏の選択、子の入籍など、複数の行政・家庭裁判所手続きが必要です。
とくに、
- 離婚届の届出人・期限・必要書類がわからない
- 子どもの戸籍変更や氏の選択で迷っている
といった場合には、弁護士への早期相談が安心です。
離婚後の生活をスムーズに再スタートさせるためにも、手続面で不安がある方は、まずは弁護士へご相談ください。
あかがね法律事務所では、離婚事案も多数取り扱っています。
以下よりお気軽にご相談ください。