アスベストと肺がん

アスベスト関連疾患の一つに 「肺がん(原発性肺がん)」 があります。

肺がんには他の臓器から転移したものもありますが、原発性肺がんとは肺自体の細胞(気管・気管支・肺胞)に発生するがんを指します。

今回は肺がんについて説明をしていきます。

1 アスベストによる肺がんの特徴

  • 潜伏期間は15~40年 と長く、ばく露から数十年後に発症することも少なくありません。
  • アスベストばく露量が多いほど発症リスクが高まるとされています。
  • 喫煙との相乗効果 が非常に強く、アスベストを吸い込んだ喫煙者は、非喫煙者と比べて肺がんの発症リスクが 約50倍 に達すると報告されています。

2 肺がんの症状

肺がんでは以下の症状がみられます。

  • 咳、痰、血痰
  • 胸の痛みや息切れ
  • 病巣の部位や大きさによっては 無症状のまま進行 することもあるため、発見が遅れるケースもあります。

3 主な治療方法

主な治療方法は以下のとおりです。

  • 外科手術(切除術)
  • 抗がん剤治療
  • 放射線治療
    患者の体力や病状に応じて治療が選択されます。

4 補償金・給付金制度について

アスベストによる肺がんが認定されると、国の制度により補償や給付を受けられる可能性があります。

⑴ 労災保険制度
業務上のアスベストばく露が原因と認定されれば、療養補償や休業補償、遺族補償等が受けられます。

⑵ 建設アスベスト給付金制度
建設業に従事していた方がアスベストにより肺がんや中皮腫などを発症した場合に、国から給付金が支給されます。

また、喫煙歴がある場合は給付額が10%減額 されるのが特徴です。

⑶ 石綿健康被害救済制度(労災の対象外の場合)
環境再生保全機構が運用しており、医療費や療養手当、遺族補償などが支給されます。

【給付金の一例(建設アスベスト給付金制度の場合)】

  • 本人が肺がんで亡くなった場合:最大 1300万円(遺族に給付)
  • 本人が肺がんを発症した場合:最大1150万円(等級により変動)
    ※詳細は制度ごとに異なり、診断内容・ばく露歴・喫煙歴などによって金額が変わります。

5 弁護士に依頼するメリット

アスベスト関連の補償金申請は、単なる申請手続ではなく、医学的な診断書の記載内容やばく露歴の立証が不可欠です。

弁護士に依頼することで次のようなメリットがあります。

① ばく露歴の整理・証拠収集のサポート
工事現場や職歴の記録をもとに、アスベストばく露を立証します。

② 複数制度の中から最適な請求ルートを選択
労災・建設アスベスト給付金・救済制度のどれを使うべきかを判断します。

③ 不支給決定への対応
申請が却下された場合も、不服申立てを含めて法的に対応可能です。

④ 遺族による申請にも対応
ご本人がすでに亡くなられている場合も、遺族が請求できる制度があります。

6 まとめ

いかがでしたでしょうか。

肺がんは喫煙や生活習慣が原因となることもありますが、アスベストばく露によってリスクが大幅に高まります。
国の補償制度を利用すれば、医療費や給付金を受け取れる可能性があります。

しかし、制度の選択や書類の準備には専門的な知識が必要です。
アスベストによる肺がんでお悩みの方、またはご家族が該当する方は、まずは弁護士にご相談ください。

あかがね法律事務所はアスベストに関する補償給付申請等も取り扱っております。
下記よりご相談をお待ちしております。

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