アスベストによる「びまん性胸膜肥厚」と給付金申請
今回は、アスベスト健康被害のひとつである「びまん性胸膜肥厚」についてご紹介します。
1 びまん性胸膜肥厚とは
びまん性胸膜肥厚とは、肺を包む胸膜が線維化し、厚く硬くなる病気です。
本来、肺は柔らかく、呼吸のたびに膨らみますが、胸膜が肥厚すると肺がうまく膨らまず、次のような症状が現れます。
- 息切れや呼吸困難
- 胸の痛み
- 肺炎などの呼吸器感染症の反復
胸膜は「臓側胸膜(肺を覆う膜)」と「壁側胸膜(外側の膜)」の二重構造を持ちます。びまん性胸膜肥厚では臓側胸膜が線維化し、しばしば壁側胸膜とも癒着するため、肺の動きが大きく制限されます。
これに対し「胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)」は壁側胸膜の病変で、癒着を伴わず呼吸機能への影響も軽微です。
2 アスベストとの関係
びまん性胸膜肥厚は、結核性胸膜炎やリウマチ性疾患などでも発症することがあります。
しかし、高濃度のアスベストばく露によっても発症することが知られています。
具体的な潜伏期間は30~40年程度です。
また、職業性ばく露では、3年以上のばく露歴を有することが多いです。
そのため、建設アスベスト給付金制度では、びまん性胸膜肥厚が認定対象疾患となっています。もっとも、ばく露期間が3年未満の場合は、給付額が10%減額される取り扱いが定められています。
3 治療と生活への影響
現時点で、びまん性胸膜肥厚を根本的に治療する方法は確立されていません。
症状が進行し呼吸不全に至ると、在宅酸素療法などの対症療法が必要となります。
患者やご家族にとっては、日常生活の制約や治療費負担が大きな問題となります。そのため、給付金・補償制度を最大限活用することが極めて重要です。
4 給付金申請における注意点
びまん性胸膜肥厚で給付金を申請する際には、以下のような課題が生じやすいです。
- ばく露歴を証明できる資料が乏しい
- 喫煙歴や他疾患が影響し、「減額」や「不認定」とされることがある
- 医学的な診断書に不備があり、申請が通らないケース
こうした点は、被害者やご遺族が単独で対応するには大きな負担となります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
5 弁護士に依頼するメリット
アスベスト給付金の申請や不服申し立てを弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。
- ばく露歴・労働歴の整理
元勤務先の特定や証拠資料の収集を代行 - 医学的主張の補強
診断書の記載不足を補うため医師と連携 - 不認定・減額への対応
審査請求や取消訴訟による救済をサポート - 複数制度の横断対応
労災保険・建設アスベスト給付金・救済給付を組み合わせた請求戦略 - 精神的支え
煩雑な手続きを専門家に任せ、安心して療養に専念できる
6 まとめ
びまん性胸膜肥厚は、進行すると生活の質を大きく損なう病気です。
アスベストによる健康被害と認められれば、給付金や補償制度によって経済的負担を軽減できます。
ただし、申請が一度で認められるとは限らず、不認定や減額となるケースも少なくありません。
そのような場合でも、弁護士による不服申し立て・裁判対応を通じて認定が覆る可能性があります。
お一人で悩まず、まずは弁護士にご相談ください。専門的なサポートを受けることで、正当な補償を受け取る道が開けます。
あかがね法律事務所はアスベストに関する補償給付申請等も取り扱っております。
下記よりご相談をお待ちしております。