トレントによるアダルト動画の違法ダウンロードで開示請求を受けた方へ

近年、トレントを利用してアダルト動画をダウンロードした方が、AV制作会社から発信者情報開示請求や慰謝料請求を受けるトラブルが急増しています。
今回はトレントや開示請求の仕組みと弁護士に依頼するメリットを紹介していきます。
1 トレント(BitTorrent)の仕組みと著作権侵害のリスク
「トレント」と呼ばれるBitTorrent方式のファイル共有ソフトは、利用者同士が直接ファイルをやりとりできる仕組みです。
一見「ダウンロードしているだけ」のように思えますが、実際にはダウンロードと同時に自動的にアップロードも行われ、他人にデータを送信している状態になります。
そのため、アダルト動画など著作権で保護された作品をトレントで利用すると、著作権法上の「公衆送信権侵害」に該当する可能性が非常に高くなります。
利用者本人が「アップロードしているつもりはなかった」と主張しても、仕組み上はアップロード行為が行われてしまうのです。
2 なぜ発信者情報開示請求を受けるのか
AV制作会社は「P2Pファインダー」などの監視ツールを用い、違法アップロードを探査・検知しています。
具体的には次の順序で発信者情報開示請求が行われます。
⑴ 違法配信を確認すると IPアドレスと時刻 を特定
⑵ IPアドレスからWHOIS検索によりプロバイダーを割り出す
⑶ プロバイダーに対して発信者情報開示請求を行う
その結果、プロバイダーから契約者に 「意見照会書」 が届きます。
この時点で「どう答えるべきか」「放置するとどうなるか」と不安になる方が多いですが、慌てて対応する必要はありません。
回答期限を過ぎても直ちに裁判になるわけではなく、示談も不可能になるわけではありません。
まずは一度弁護士に相談しましょう。
3 開示後の流れと示談金の相場
発信者情報が開示されると、制作会社は弁護士を通じて損害賠償を請求してきます。典型的には次のような内容です。
- 1作品あたりの損害金:約44万円
- 制作会社の全作品一括での損害金:約88万円
ただし、これらの金額は過去の裁判例と比較して高額に設定されていることも多く、交渉の余地があります。
もし示談に応じない場合は、制作会社が損害賠償請求訴訟を起こす可能性があります。
過去の裁判例では請求額が抑えられるケースもありましたが、今後も必ず低額に認定されるとは限りません。
4 刑事責任は?逮捕の可能性はあるのか
「著作権法違反で逮捕されるのでは?」と心配される方も多いですが、刑事責任が問われるのは「故意にアップロードしていた」場合に限られます。
BitTorrentを利用していた方のほとんどは、仕組みを十分理解していなかったケースであり、当事務所では実際に逮捕事例は確認されていません。
ただし、繰り返し利用していたり、故意性が明らかな場合にはリスクがゼロとは言えません。
5 弁護士に依頼するメリット
トレント案件においては、以下のような点で弁護士に相談する意義があります。
① プロバイダーへの回答方針の検討
不用意な回答を避け、最適な回答書を提出できます。
② 示談交渉における戦略的対応
提示された示談金が妥当かを検討し、必要に応じて減額交渉を行います。
③ 長期的なリスク管理
一度の示談で「包括的な解決」ができるかどうかを見極め、追加請求を防ぐような交渉が可能です。
④ 不安の軽減
刑事責任の可能性や訴訟リスクについて、正確な見通しをお伝えし、安心して解決に臨むことができます。
6 まとめ
いかがでしたでしょうか。
トレントを利用したアダルト動画のダウンロードは、知らないうちに著作権侵害行為にあたってしまう危険な行為です。
開示請求や高額な慰謝料請求を受けても、慌てず冷静に対応することが大切です。
あかがね法律事務所では、これまで数多くのネットトラブルを扱ってきた実績があり、最新の裁判例や制作会社の動向を踏まえて、依頼者に最適な解決策をご提案しています。
まずは一人で悩まず、専門の弁護士にご相談ください。
下記よりご相談をお待ちしております。