奨学金の返済が厳しい方へ【弁護士が解説】

「奨学金の返済が苦しい…いつになれば終わるのだろう」「病気や失業で奨学金が払えなくなってしまったら、どうなる?」

大学進学のために奨学金を利用するのは一般的なことですが、卒業後に発生する数百万円単位の返済は、日々の生活に重くのしかかります。300万円の奨学金を借りた場合、完済までには長い年月が必要です。

今回は、弁護士が、奨学金の返済期間の目安、延滞してしまった場合のリスク、そしてどうしても返済できない場合の法的対処法(債務整理)について分かりやすく解説します。

1 300万円の奨学金、完済まで何年かかる?

奨学金は金利が低い(または無利子)とはいえ、借入総額が大きいため、返済期間は長期にわたります。第二種奨学金(利息付)で約300万円を借りた場合のシミュレーションを見てみましょう。

例えば、貸与総額が300万円、利率0.5%(固定)だとすると、返済回数は240回(20年)になります。月々の返済額は、約1万3000円となり、返還総額は約315万円となります。

22歳で大学を卒業してすぐに返済を始めたとしても、完済するのは42歳です。この20年の間には、結婚、出産、育児、マイホーム購入、あるいは親の介護など、様々なライフイベントが発生します。途中で病気や失業などで収入が途絶えた場合、この毎月約1万3000円の支払いが家計を圧迫するケースは決して珍しくありません。

2 奨学金が返済できず延滞するとどうなる?

「手持ちがないから」と奨学金の返済を放置してしまうのは非常に危険です。奨学金返済を延滞すると、一般的な借金と同様、あるいはそれ以上のスピードで厳格な措置がとられます。

【奨学金延滞から法的措置までの流れ】

① 連帯保証人・保証人に請求がいく
人的保証(親や親族が連帯保証人になっている場合)を利用している場合、延滞するとすぐに連帯保証人にも督促の電話や書面がいきます。ここから親族間のトラブルに発展するケースも少なくありません。

② 延滞金が加算される
本来の返済額に加えて、延滞金(遅延損害金)が加算されます。

③ 信用情報が「ブラック」になる
3ヶ月以上延滞をすると、個人信用情報機関(KSCなど)に「異動情報」が登録されます。いわゆるブラックリスト入りです。
なお、延滞を解消しても一定期間(一般的に完済してから5~7年間ほど)はブラック状態が消えません。この間、住宅ローンや車のローン、クレジットカードの作成ができなくなります。

④ 裁判と給与・財産の差し押さえ
督促を無視し続けると、日本学生支援機構から最終的に裁判を起こされます。残金の一括請求を受け、最悪の場合はご自身の給与や銀行口座、または連帯保証人(親など)の給与が差し押さえられる事態に発展します。

3 奨学金を返せない時の正しい対処法

どうしても支払いが厳しい場合は、絶対に放置せず、日本学生支援機構の救済制度利用を早急に検討してください。

失業や病気などで収入が減った場合、日本学生支援機構に申請し、次の制度を利用することで一時的に支払負担を減らすことができます。

減額返還制度:毎月の返済額を2分の1または3分の1に減らして返還する制度。

返還期限猶予制度:一定期間(最長10年)、返済自体を待ってもらう制度。

もっとも、これらはあくまで「先延ばし」であり元金(負債そのもの)が減るわけではありません。ですが、信用情報に傷をつけずに生活を立て直す時間を確保できます。

4 奨学金は「債務整理」できる?

救済制度を使っても返済の目処が立たない場合、または他のクレジットカードやカードローンの借金も抱えていて多重債務に陥っている場合は、債務整理という法的手続で借金を整理することが可能です。

ただし、奨学金が含まれる債務整理には特有の注意点があります。

まず、奨学金返済は任意整理には不向きです。 任意整理は将来利息をカットし、分割回数を増やす手続きですが、奨学金は元々超低金利であるため、手続きをしても減額効果がほぼありません。

次に、奨学金債務の場合は保証人がいることです。個人再生(借金総額を最大5分の1程度に減額できる手続きです。)や破産(借金の支払い義務がすべて免除される手続きです。)をすることはできますが、いずれも保証人に残額が一括請求されます。

「奨学金の保証人(親族)に迷惑をかけたくない」という方は多くいらっしゃいます。そこで、その場合、奨学金以外の借金(消費者金融、リボ払い、車のローンなど)があるなら、「奨学金以外の借金だけを任意整理する」という方法が非常に有効です。

高金利の借金の負担を減らすことで、奨学金をこれまで通り返済していく余裕を生み出すことができます。

各債務整理手続きについては次の記事をご覧ください。

5 まとめ

いかがでしたでしょうか。

奨学金の返済問題は、保証人が絡むため「誰にも相談できない」と一人で抱え込んでしまう方が多いのが実情です。しかし、対応が遅れれば遅れるほど、給与の差し押さえなど事態は深刻化してしまいます。

あかがね法律事務所では、ご自身の状況や「保証人に迷惑をかけたくない」などのご希望をしっかりとお伺いした上で、最適な解決策をご提案いたします。

「自分は自己破産しかないのか?」、「任意整理でどれくらい楽になるのか?」など、まずはお気軽にご連絡ください。

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