発信者情報開示請求の後にできる慰謝料請求とは?【弁護士が徹底解説】

インターネット上の誹謗中傷に関して、投稿者の特定や削除の流れについては以前説明しましたね。
まだ確認されていない方は、以下の記事をご覧ください。
インターネット上の誹謗中傷により大きな精神的苦痛を受けた場合、発信者情報開示請求によって投稿者を特定した後、次のステップとして慰謝料請求(損害賠償請求)を行うことが可能です。
この記事では、投稿者特定後にどのような流れで慰謝料請求を進めるのか、また注意点や弁護士に依頼するメリットについて解説します。
1 慰謝料の基本
慰謝料請求とは?
誹謗中傷などにより名誉権やプライバシー権が侵害されたとき、精神的苦痛に対する金銭的賠償を求める手続 です。
一般的な慰謝料の相場は20万円~100万円程度です。
ただし、次のような場合には増額されることがあります。
- 投稿が多数回・長期間にわたる場合
- 投稿の社会的影響が大きい場合(職場や学校に広まった等)
- 投稿者特定のためにかかった調査費用・弁護士費用を上乗せ請求する場合
2 慰謝料請求の方法と流れ
慰謝料請求は大きく分けて 交渉 → 裁判 の2ステップで進めることが一般的です。
⑴ 任意交渉
まずは弁護士を通じて投稿者に通知を行い、任意の支払いを求めます。
この段階で多くのケースが解決しますが、相手が応じない場合は裁判へ移行します。
⑵ 裁判(民事訴訟)
任意交渉で解決できない場合、裁判所に訴訟を提起します。
裁判では「投稿によって権利が侵害されたこと」、「精神的苦痛を受けたこと」を立証する必要があり、専門的な法律知識が不可欠です。
3 慰謝料請求と併せ行う手続き
⑴ 誓約書・示談書の締結
慰謝料を支払わせるだけでなく、再び誹謗中傷を行わないように誓約書や示談書を取り交わすのが一般的です。
場合によっては「再度書き込みをした場合、違約金○○円を支払う」という条項を入れ、抑止効果を高めることも可能です。
⑵ 刑事告訴
投稿内容が刑法上の犯罪(名誉毀損罪・侮辱罪など)に当たる場合は、警察に告訴することも可能です。
刑事責任の追及は、民事上の慰謝料請求と並行して進められます。
4 投稿者が不明確な場合の注意点
発信者情報開示請求を経ていない状態で「この人が書いたに違いない」と推測して慰謝料請求をすることも可能ですが、以下のリスクがあります。
- 実際には無関係の人物を請求相手にしてしまう可能性がある
- 本人が投稿を否認した場合、請求がそれ以上困難になる可能性がある
- 人間関係の悪化を招く
確実に責任を追及するためには、やはり発信者情報開示請求を経て投稿者を特定することが望ましいです。
5 弁護士に依頼するメリット
次のメリットから弁護士に依頼することが推奨されます。
- 適切な慰謝料額を算定して請求できる
- 投稿の違法性を整理し、裁判所に通用する主張立証を行える
- 投稿記事削除や発信者情報開示、慰謝料請求を一貫してサポートできる
- 相手が支払いを拒否した場合も、強制執行まで見据えた対応が可能
6 まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事をまとめるとつぎのようになります。
- 発信者情報開示請求で投稿者を特定したら、慰謝料請求(損害賠償請求)が可能
- 慰謝料の相場は20万~100万円程度、弁護士費用も上乗せできる場合あり
- 解決の流れは 任意交渉 → 裁判 が一般的
- 誓約書・示談書の締結や刑事告訴とあわせることで、再発防止や刑事責任追及も可能
ネットの誹謗中傷でお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずは弁護士にご相談ください。
あかがね法律事務所では、これまで数多くのネットトラブルを扱ってきた実績があり、依頼者に最適な解決策をご提案しています。
下記よりご相談をお待ちしております。