親権とは? ~子どもを守るための法的権利と義務

離婚を考えているけど、子どもの親権がほしい・・・
このように考えている方も多いと思います。
今回は親権について解説をしていきます。
1 親権とは?
親権とは、身上監護権(子どもの生活・教育・住居等を決定・実行する権利・義務)および財産管理権(子どもの財産を管理し、法律行為を行う権利・義務)を含む権利・義務を指すものです。
婚姻中は、通常、父母が共同して親権を行使します。離婚時には、父母の一方を親権者と定め、離婚後はその親権者が単独で親権を行使する形が原則です。
日本では、現在、離婚後も共同で親権を行使する共同親権制度は認められておらず、単独親権が原則とされています。
つまり、離婚後に子どもがどちらの親と一緒に暮らすか、生活・教育の決定を誰が行うかを定める必要があります。
※なお、令和5年に民法の一部が改正され、共同親権制度が導入されることになりました。この共同親権制度は、令和8年までに施行される予定です。
2 親権はどうやって決める?
⑴ まずは協議で
まずは夫婦で親権者を決める協議を行いましょう。
子どもの生活環境や双方の事情などを考慮しながら、「面会交流」、「養育費」についても同時に話し合いましょう。
協議がまとまれば、離婚届に親権者を記入できます。ただし、協議だけで決めず、公正証書などで書面化しておくことが後のトラブル回避に役立ちます。
⑵ 協議が不調なら家庭裁判所手続へ
協議で決められない場合、家庭裁判所に離婚調停を申立て、その過程で親権者を定める調整が行われます。
調停で合意できなければ、離婚裁判を提起し、裁判所の判断で親権者が決定します。裁判所は子どもの福祉を最優先とし、様々な事情を総合して親権者を決定します。
3 親権者を決める判断基準
親権者の決定にあたっては、法律上は具体的要件が定められているわけではありません。しかしながら、実務上、多くの事案で以下のような要素が重視されます。
主な判断要素
要素 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
監護実績・継続性 | これまで子どもの監護・養育(世話)・生活等をどちらの親が行ってきたか。また、現在も監護しているか | 裁判所は、監護・養育の継続性を重視しています。 ※母親側が事実上、子どもの面倒見ることが多いので、母親が親権者となりやすいのはこれが理由です。 |
経済力・生活環境 | 親の収入、住居環境、親族支援、健康状態など | 監護に必要な生活基盤があるかどうか |
子どもの意思 | 子どもの年齢や成熟度によって、「どちらで暮らしたいか」という意思を考慮 | 特に10歳前後以上で子どもの意思が尊重される傾向があり、15歳以上では子どもの意見を聞く必要がある場合もあります。 |
兄弟姉妹の不分離 | 兄弟姉妹を別々の親権に分けないようにする配慮 | 原則として兄弟姉妹が離ればなれにならないよう考慮されます。 |
裁判実務でよくある傾向・注意点
- 監護実績が強い親が親権者となるケースが多いです。特に子どもと日常的に接していた親が有利となりやすいです。
- 「母性優先」の観点は、乳幼児期などにおいて語られることがありますが、それ自体が絶対的な基準ではなく、実際には監護実績・生活環境・子どもの事情とのバランスで判断される傾向が強いです。
- 不倫をしたからといって、親権を獲得できないわけではありません。不倫の事実は子の監護養育とは無関係だからです。
- 子どもの意思は重要ですが、子どもの主張だけで親権者が決まるわけではなく、他の要素を含め、調整・判断がなされます。
4 まとめ
親権は、離婚後の子どもの生活に直結する最も重要な問題のひとつです。感情的な対立や相手方の主張に流されてしまうと、後から取り返しのつかない結果になることもあります。
特に、
- 子どもの生活環境や教育方針で意見が合わない
- 相手が子どもを連れて別居してしまった
- 親権を自分が持てるか不安がある
といった場合には、早期に弁護士へ相談することが重要です。
お子さまの将来を守るためにも、ひとりで悩まず、まずは弁護士へご相談ください。
あかがね法律事務所では、離婚事案も多数取り扱っています。
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