離婚前にすべき準備 ~後悔しないためのチェックリスト~

離婚を考えているけどどんなことを準備すればよいのだろう?

“離婚はゴールではなく、人生の転換点です”

今回は、悩みがちな「離婚前の準備」として押さえておきたいポイントを解説します。

1 離婚意思や感情面の整理

⑴ 本当に離婚すべきかを冷静に考える
感情的になって勢いで進めると、あとで後悔する可能性があります。関係修復の見込みや子ども・家族の影響も併せて検討しておきましょう。

⑵ 離婚後の生活イメージを描く
住居、仕事、収入、家計、子どもの生活など、離婚後の生活をシミュレーションしておくと離婚後の将来設計が安心できます。

⑶ 支援態勢の確保(相談先・サポート)
信頼できる友人・家族、あるいは弁護士など相談できる窓口を複数持っておくと良いでしょう。
特に弁護士については、法律面からあなたを支えることができます。

2 離婚理由の検討

民法770条では法定離婚事由が定められています。
離婚の理由が必ずしもこちらの事由に当てはまる必要はないですが、もし相手方が離婚を拒んだ場合、法定離婚事由に該当する事項があれば離婚をスムーズに進めることができます。

民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

3 夫婦共有財産の確認

離婚時には、婚姻中に形成された財産や債務の扱いが争点(財産分与)になることが多いため、また、養育費の金額等も争点になることが多いため、可能な限りその内容を正確に把握しておきましょう。
具体的には以下に挙げる内容が分かる書面(もしくは写真)を保有・確認しておきましょう(特に配偶者の財産)。

【財産状況を把握する資料】

  • 預金通帳
  • 有価証券口座(株・債券など)
  • 不動産(自宅・投資用不動産)
  • 車検証
  • 保険証券(解約返戻金があるタイプ)
  • 退職金の金額
  • その他価値のある動産・所有物の把握

負債を確認できる資料】

  • 住宅ローン残債がわかる資料
  • カードローン

【収入・所得を確認できる資料】

  • 源泉徴収票
  • 給与明細
  • 確定申告書

4 別居の準備

離婚に向けての準備と同時に、配偶者との別居も視野に入れる必要があります。

事前に、新たな住居(実家、賃貸等)を確保できないか動くべきです。

もちろん、配偶者と同居のまま離婚手続きを進めることは可能ですが、配偶者からの暴力や恫喝、離婚に至るまでの生活の気まずさの面で懸念があるのであれば別居をお勧めいたします。

なお、別居開始後から離婚に至るまで、婚姻費用分担請求(相手方に別居期間中の生活費を一定程度負担してもらうための請求)が認められることがあります。
婚姻費用は夫婦双方の年収をベースに算定されるため、一度弁護士に相談した方が良いでしょう。

5 証拠・記録の収集

離婚協議や調停・訴訟で配偶者の不貞・DV・暴言・虐待などが争点になる場合は、証拠をできる限り集めておくべきです。

  • 不貞・浮気の証拠
     メール・LINE・SNSのやり取り、写真・動画、宿泊記録、目撃証言など。
  • DV・暴力・暴言の証拠
     診断書、警察記録、被害時の写真、録音や録画。
  • 家計・支出記録
     クレジットカード明細、レシート、振込記録、共有名義の出金入金記録など
  • 子どもの生活実態記録
     学校の成績・生活状況、担任の言葉、家庭訪問記録など。

6 離婚の方式・手続きを考える

離婚にはいくつかの方式がありますが、それぞれのメリット・リスクを把握し、見通しを立てておくべきです。

  • 協議離婚(話し合いによる離婚)
     最もシンプルかつ迅速で費用も抑えられます。ただし、双方が円滑に話し合いをすることができ、スムーズに合意に至ることが前提です。
  • 調停離婚(家庭裁判所を用いた離婚)
     当事者だけの話し合いや合意が難しい場合、家庭裁判所の調停手続きを使って離婚を進めることもできます。この場合、家庭裁判所が双方の話し合いを後押ししてくれます。調停が成立すれば強制力をもつ調停調書という形で離婚の内容が公的書面化されます。
  • 裁判離婚(離婚調停後に裁判官が主導して手続を進める離婚)
     離婚調停でも話し合いがまとまらない場合に、裁判官が主導して離婚を進める離婚裁判を利用することができます。利用の条件としては、離婚調停が不成立になる必要があります。ただし時間とコスト・精神的負荷がかかります。

7 まとめ

いかがでしたでしょうか。

離婚の準備は法律知識や交渉力が求められる場面も多く、個人で対応するのは負担が大きいのが実情です。特に財産分与や親権、養育費などは、今後の生活を大きく左右する重要な問題です。

もし「自分だけで進めるのは不安」「相手が話し合いに応じてくれない」と感じているなら、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。

離婚を前向きな人生の再スタートとするために、まずは専門家に相談し、一緒に最適な解決策を探していきましょう。

あかがね法律事務所では、離婚事案も多数取り扱っています。
以下よりお気軽にご相談ください。

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